2010-04-09 「隣の家の少女」(主演:ブライス・オーファース/監督:グレゴリー・M・ウィルソン) 他 [長年日記]

「隣の家の少女」(主演:ブライス・オーファース/監督:グレゴリー・M・ウィルソン)

公式サイト

“読後感最悪”として知る人ぞ知る、J・ケッチャムの問題小説を、実写映画化してしまった作品。私は原作を読んでおらず、「美少女が言語道断レベルの“虐待”を受ける」という概要を知っただけの状態で、この映画を観に行った。どうせ凄惨な内容ならば、映画の方が受け身な分、かえってハードルが低いだろうから、そちらを先にしようと考えたものである。観た感想は、冷静にまとめられる自信がないので、箇条書きの雑感にて。なお、原作が有名作品なので、ネタバレには今更考慮していない。

  • 最初は「遊びに参加させない」「食事を与えない」「反抗を責め立てる」といった次元だった“虐待”。やがて、ヒロイン・メグの“女性性”に焦点を当てた執拗な侮辱に発展。メグの抵抗は、身体の不自由な妹を人質に取る事で阻止。遂には、メグの身体に直接危害が加えられるまでに至る。
    • この、緩やかに着実にステップアップするエスカレートの最中。メグを明らかに気にかける様子ながら、現場から足早に立ち去る方向で行動する主人公の心理が、まるで読めずに苛々した。主人公と著者と映画監督に腹を立てる以外に、気持ちのやり場がなくて、中座を検討した程である。
    • しかしラストの(あくまでも私視点によれば)“救済”ぶりに、安堵。また、安堵を与えられた事に対する不安も感じた。残虐な映像と事前に知って観た人間に、安堵が与えられて良いものか?と。
    • 後に、この作品が実在の事件をベースにしていると知った。ならば、原作者又は又は映画監督は、彼(等)なりに被害者への純朴な救済を与えずにいられなかったのでは?と考えた。勿論、彼(等)が猟奇好きである面は、当然否定できない。
  • 原作では「美少女」と明記されている(らしい)メグ。映像化の制約により、映画では「健康的に育った若く愛らしい女性」に置き換わっていた。これにより、メグに象徴され劇中で迫害される概念が、“(儚い?)美”から“健やかな女性性”に変わった可能性を推測。いざ原作を読んだら、まるで見当違いかもしれないが。
    • 虐待中心人物の中年女・ルース。“背伸びアイテム”を与えた少年達に、共犯感覚を植え付け支配下に置く事で、アイデンティティを保っているように見える。彼女にとって、伸びやかな容姿と性格と若さのみで少年達の心をとらえるメグは、嫉妬の対象であったと想像に難くない。
    • 亡くなったメグ母の指輪を、メグから執拗に奪おうとし続けるルース。メグを苦しめる目的のみならず、最後の瞬間まで“女として”幸せだったに違いないメグ達一家及び、メグ母への強い嫉妬が伺える。
    • 自身が(他の男から)同様に求められないルース。故に彼女は少年達に対し、メグへの性的欲求を禁止する。しかし少年達の性的欲求は、首領であるルースの阻止をも乗り越えんと試みる。これが噂に聞き、時には当事者が正当化してみせる、“男のサガ”だと思うと慄然とする。
      • もしもメグがここで、自分の身体提供と引き換えに、ルースからの“解放”又は、ルースへの“復讐”を、少年達から引き出せる少女だったなら、メグは悲惨な結末を迎えずに済んだ。しかし、それをしないメグだからこそ、この時点の状況までルースに追い込まれた、ともいえる。
    • メグの“性”を自分の支配下に置き、自分から少年達に与える事で、メグを蹂躙したと同時に少年達を支配し続けている錯覚を得るルース。ルース自身が、男のいない中年女である事実に目を向けてしまうと、ルースの姿はあまりにも哀しい。
    • しかし、それでもやはり少年達の暴走は止まらない。よって、メグから“女”を永遠に奪い去る形で、またその名目を“メグの‘罪’からの解放”とする事で、己を正当化した上で強制終了しようとするルース。
      • あっさり目くらまされて唯々諾々と従う少年達が、正直よくわからない。最終的に性欲よりも、破壊衝動を選択した訳である。少年達の意識の底に、「女に対する憎しみ」があるとしか考えられない。ルースの教育が正しく発露した結果、と見れば良いんだろうか。
  • 聞いた話では、原作の少年は「メグ苛めにどうしようもなく引きつけられる己を否定できない」存在であったらしい。映画では、そんな葛藤があったかなかったかさておき、最後にはそんな己を封印できているように見えた。
    • それにより、男性の「女性加虐願望」描写が失われてしまった、という向きもあるらしい。私は、女性による女性への「女性性蹂躙願望」描写に酷く心打たれたので、少なくとも私にとってはこれでいいやという気がした。
      • 継母ならぬ自分の母親に、ルースと同じニュアンスの圧力をかけられた女性は、結構いるんじゃないかと思う。
  • 同じ事件を元にした別作品「アメリカン・クライム」は、「ハードキャンディ」主演のロリ女優が、被害者役を熱演しているとの情報。そちらも是非観ておきたい。

Tags: 映画

萌え猫画像

波紋桜の奥へ(以上2点、世界はニャーでできている。-なでしこ館-)/スリスリ♪(猫式訓練所)・みっしり猫さん達の写真4枚のびーるたんを超えるかもしれない写真(以上2点、ねこメモ)


猫@中野区

Tags: 動物

萌えアニマル画像

上野動物園の木曽馬の赤ちゃん(動物の写真)・299-3F~4F(ピューマ他/動物園始めました。)

Tags: 動物
[]

«前の日記(2010-04-08) 最新 次の日記(2010-04-10)»