2010-12-12 あんず大福&あんずどら焼き@菓匠 正庵 他 [長年日記]

あんず大福&あんずどら焼き@菓匠 正庵

渋谷東急は、私にとって、週に1回は立ち寄りたいオアシスである。こちらで買い求めた甘い菓子でもって、日々の仕事の疲れを癒したいのだが、ジェラートのリピート率が高い上に、週代わりの期間限定出店店舗もあるものだから、常設の店舗を回り切れていない。制覇しきるのも愉しいに違いないが、なかなか制覇できない今の状況もまた、格別に愉しい。

さて、今回立ち寄ったのは、期間限定店舗の「菓匠 正庵」。何気なく眺めたところ、和菓子屋であり、和菓子は洋菓子に比べて味の幅が狭いので、気分にぴったり合うタイミングがなかなか難しい。今回も、一瞥して「ふーん」という感想を抱いて立ち去りかけたところに、「あんず」の文字が目に飛び込んできた。杏は、私が非常に好んで止まない菓子素材である。思わず立ち止まって文字を凝視してみると、「あんず」は詳しくは、「あんず大福」と「あんずどら焼き」であった。ならば、どちらも買って帰るべきだろう。

「あんず大福」は、つぶ餡の大福の中に、薄くのばした杏が入っていた。「苺大福」が、大福に苺の香りと甘さと酸味とみずみずしさをもたらして美味しいのと比べると、「あんず大福」は、香りとみずみずしさが弱く、甘さと酸味がぐっと強い。正直なところ、「苺大福」の香りとみずみずしさは、そんなに大福に合っているという訳でもないので、その点でまず「あんず大福」のほうが美味しい。それに加えて、杏は「杏みつ豆」等で既に、和風甘味との調和ぶりをしられた素材である。美味しくない筈がなかった。薄く延ばしてあることで、大福との一体感も素晴らしかった。一方「あんずどら焼き」は、白餡のどら焼きの中に、薄くのばした杏が入っていた。白餡なので主張はごく控えめであり、どら焼きの皮と杏の組み合わせに、甘さとしっとり感じを補うような存在であった。こちらも美味しかったが、「あんず大福」の完成度には一歩届かなかった。

なお、今回はコンセプトが拡散するので買わなかったが、「黒豆さらさら」というお菓子も非常に美味しそうであった。黒豆の煮汁でこしらえた寒天に、粒餡と黒豆を添え、黒蜜をかけて食べるらしい。こちらも、いずれ。

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