★ 豚キムチもやし焼きそば、その場アレンジという暴挙と、その後始末

何やら急に、焼きそばが食べたくなった。焼きそばを買いに行った。いつもならば、マルちゃんの３食入り超特価ソース焼きそばを買うところ。しかし今日は、ソース味でない焼きそばを食べたかった。製麺屋に行って、「焼きそばに使える麺を下さい」と注文した。店員は、中華麺を売ってくれた。落ち着いて考えてみれば、焼きそばはラーメン屋でも出るメニューなのだから、店員にわざわざ尋ねずとも中華麺一択だったんである。でもこの時は、そこまで頭が回らなかった。頭が回らないまま、具を選定した。豚とキムチと豆もやしが食べたい気分だったので、その３つを買った。そして、味付けをどうするかにまで頭が回らず、決めないまま家に帰った。そして、頭が回らな過ぎるあまり、味付けを決めないまま調理を始めた。

豚肉を胡麻油で焼き、キムチをからめ、豆もやしを足した。私は麺を蒸し焼きにしてモチモチにさせた焼きそばが好みなので、フライパンの具の上に麺をのせて水をかけ蓋をした。その直後に、「そういえば前に作った豚キムチは、確か醤油とオイスターソースで味を付けるんだったっけ」と思い出したのは、私にしては上出来であった。頃合いを見て蓋を開けた後に、記憶に従って、醤油とオイスターソースを同量ずつ、サラサラと加えた。そして味見をした。……何かが、非常に、物足りていなかった。風味は充分だけれども味がない、とでも言おうか。私は非常に困惑した。この状態に醤油とオイスターソースを足したら、恐らく塩気が勝ち過ぎてしまう。となれば、塩胡椒を加えるのも間違いっぽい。となれば、いったい何を足したら良いんだろう。早く決めないと、具と麺に火が通り過ぎてしまう……！！

この、切羽詰まった状況に召還された友人は、黙って鶏ガラスープ粉末を足した。……なるほど、足りていないのは“旨味”だったのか。麺が入らないが為に、肉や卵から出た旨味で充分であったであろう、前に作った豚キムチに囚われていたとはいえ、“旨味”の欠乏に閃かないとは、私の舌はどうかしていた。所詮、万年消費者なんてこんなもんである。

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