2010-04-11 妊娠して出産したからといって、「安定した生活を手に入れた」前提があるとは限らない 他 [長年日記]

妊娠して出産したからといって、「安定した生活を手に入れた」前提があるとは限らない

妊娠し、出産した。過程――悪阻や陣痛の苦しみ――は記憶になく、「私は妊娠して出産した」という事実認識だけがあった。緩やかに横たわった私は、ぼんやりした充実感と幸福感に包まれて、隣に立つ夫と思しき人物に尋ねた。

「こうなるまでの話をよくわかっていないんだけれども、私が今こうして子供を産んだという事はつまり、『子供を身ごもり産んで育てる』に踏み切れるだけの自信を持てる、安定した生活を得た、という事なんだよね?」

夫らしき人物は答えた。

「いや、そうとは限らないよ」

ここで私は、衝撃的な事実に気付いた。子供を産んだ筈なのに、今現在、私の傍らに子供がいない。産んだ子供は、今いったい何処に? まさか私は、自分の産んだ子供を病院に置き忘れ、暢気にくつろいでいるのか? 産んだ端から、母親である自覚もなしに、速攻の育児放棄を? ――いいやそれとも、私は本当に子供を産んだのだろうか? 本当に、子供を身ごもったのだろうか? 「子供を身ごもった」「そして産んだ」という妄想に、いつしか取りつかれただけなのではないのか? だって実際、私の記憶にも、身辺にも、妊娠や出産の痕跡が欠片も見当たらない――。

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「妊娠&出産は、もしや妄想?」と気付いた瞬間よりも、その前の、「まさか、産んだばかりの子供の存在を忘れてた?」と気付いた瞬間の方が、遙かに恐ろしい気持ちであった。妄想は所詮、自分個人の問題であるが、育児放棄は子供に深刻な悪影響があり、よって世間からの糾弾も免れないから、恐ろしさ度合いに違いがあったんだろうと推測される。我ながら興味深い。しかしそれにしても、未婚の身なのに、何故こんな無駄な恐怖を、夢で体験しなければならないのやら。

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