私も知る有名な猫写真家である、岩合光昭氏の写真展が日本橋三越で行われていると聞き、鑑賞及び勉強がてら出掛けてきた。ネット上に猫ブログ多かりし近頃ともなれば、猫写真に興味がある人も当然多かれど、写真家の写真を入場料払ってまでわざわざ眺める人は多くあるまい。――と、会場に着く直前まで思い込んでいた、自分の浅はかさを責め抜きたい。一般的な絵画展でさえそこそこ混むのに、それが猫写真というわかりやすい題材ともなれば、ごった返さない方がおかしい。会場に着いた途端目に入った、入り口の混雑ぶりに怖じ気付き、ここまで来て入場を見送ろうかとまで考えた。しかし逡巡する内に、どうやら私が会場に到着したタイミングの少し後に、岩合氏本人の講演かサイン会の類が予定されていたらしく、群集った人々はそれ目当てと判明。であれば、逆に今のタイミングにこそ入場するべきと考え直し、無事入場と相成った。
岩合氏の撮る猫写真は、猫の一瞬の仕草や表情の切り抜きを中心的題材としつつ、猫の一瞬を周囲の風景の中にきちんと落ち着かせていた。「猫中心に撮ったから、構図にまで手が回りません」又は「猫のいる光景を狙ったから、猫自体には面白味がありません」な2択しか存在しない私には、これがプロの技かと感心することしきりであった。また、岩合氏が切り抜く猫の仕草や表情の基準には、氏が愛猫家であると確信させる、愛情が感じられて心地よい気分になった。
目を保養すると同時に、自分の撮影技術の未熟さを思い知った私であったが、アマチュアとさえも胸を張れない域に留まり続けるにしても、自分の撮影した猫写真をネットにアップするばかりでなく、ある程度大きく焼いて額とかに入れて眺めてみようかとも考えつつある。写真家として世に打って出ようとかいった大それた野望ではなく、もっと純粋に単純に、自分の出会った猫と自分の撮った写真を自分自身が愛でても良いような気がしたので。
湖畔の朝(世界はニャーでできている。-なでしこ館-)/「塀の上に猫が捨てられてたんだけど」(ハムスター速報/糸の切れた凧より)/YouTube“Cat-lift” (idea*idea より)
小さな入り口から猫が乗り込み、ゆっくり階下へ降りるエレベータ。猫が自力で操作しているらしいが、乗り込みはスムーズなのに1Fに着いた後モタモタしてるのが妙に可愛い。<“Cat-lift”