自由が丘駅前で見かけた、クラシカルな雰囲気の和菓子屋。クラシカルと言っても、陳列されている商品は和洋折衷な感じで、生粋の和菓子っぽくはないのだが、その和洋折衷さが“モダン”というか、オシャレで落ち着いた上品な老婦人を見るような趣である。
この店の味を知るべく、手始めに手軽そうな辺りとして、「古呂古呂」なる名前の和風クッキーを購入してみた。味は、抹茶・シナモン・麦焦がしの3種類。抹茶は和風菓子の定番テイストとしても、シナモンは和風でありながらハイカラで少し目先が変わっているし、麦焦がしはありそうでなかなかない切り口。この「麦焦がし」という選択に甚く満足を覚え、仮に菓子本体が口に合わなくとも、それでも構わないぐらいの気持ちで買って帰った。「麦焦がし」に満足しつつ、買うにあたっては3種類全部買って帰るのが私流である。
そしていざ、家に帰ってクッキーを袋から取り出して口に含むと、さくっと壊れてふわっと融ける、想像もしなかった食感が拡がって驚いた。秋田の郷土菓子、諸越を想起させるが、あれよりもっと柔らかくて儚い……。甘さがとことん控えめなのも、非常に好み。“和風クッキー”でこれだけ意表を突いてくれるなら、他の創作菓子はもっと意表を突いてくれそうだから、いろいろ食べてみたいなあと思った。