冬という事もあり、ふと、おでんを食べたくなった。正確には、おでんの出汁が沁み込んで熱々の、大根や卵やジャガイモを食べたくなった。しかし、さつま揚げや揚げボール等の練り物は、おでんの出汁が沁み込んでいてもいなくても、特に食べたくなかった。ならば、自分の内なる欲求にストレートに従う事にして、練り物を最低限の線でがんもどき一本に絞り込み、代わりに野菜を存分に用意したおでんを作った。普段食べるおでんと比べて、薄味かつ野菜の旨味が出ていて、さらりと美味しかった。
しかし、野菜を存分に用意したおかげで、具の量が多くなり、翌日に余らかしてしまった。翌日のおでんは、大根やジャガイモが水分を吸収して、全体に水分が乏しくなっていた。これを温め直す際、ただ水を足すだけだと芸がないなあと考えた末、何となくカレー粉を加えてみた。おでんとカレーが融合したメニューを、ネットの何処かで見掛けたという記憶に基づいたものだったのだが、カレー粉を加えて温め直した野菜おでんはかなり美味しかった。「和風だし+カレー」の組み合わせは、カレーうどんやカレーそばという、市民権を得た実績を既に積み上げており、更に今回の私のおでんは野菜メインである為に、つまり出来上がった料理は期せずして「和風野菜カレー」となった訳である。見事な着地。めでたしめでたし。
「コタツをセットして最後に天板を乗せようとしたら格子に嵌ってた」(アルファルファモザイク)