前の部署や更にその前から長い付き合いがある人と、仕事が終わって帰るタイミングが一緒になった。駅まで一緒に歩きながら、オープンにして差し支えない範囲内の愚痴交換等していると、駅の真ん前に、果物を売り歩く小さなトラックが止まっていた。私鉄沿線では時折目にするが、都内の大型ターミナル駅では、かなり珍しい光景であったと思う。
興味を抱いて、売り物を覗きこんだ。そこにあったのは、国産さくらんぼであった。しかも、驚きの低価格。「高級果物でもこの低価格なら買えなくもないが、そもそも品質は大丈夫なのか?」という、当然の疑いを浮かべる私達の前に、タイミング良く差し出される試食。食べてみるが、何の問題もない。国産さくらんぼ特有の、上品な甘味と酸味と香りであった。
私達が財布に手を伸ばしかけたまさにその時、店員は意外な事実を明かした。「トラックに掲示している激安価格は、一番安い商品のもの(と言いながら、超小盛りのプラ容器を見せる)」「今試食してもらったのは、それよりワンランク上の商品(と言いながら、掲示価格の倍の値段する、通常サイズのプラ容器を見せる)」。――この時私が感じたのは、「思っていた安さじゃなかった」失望と、「思っていた安さじゃないからこそ、あの安心品質だった」安堵だった。同僚と目配せし、密談した末、「2人で半分こ」という方針にて、その「激安価格よりワンランク上の」さくらんぼを購入して帰った。私達には「2人で半分こ」という逃げ道があったから、これは全く悪くない買い物であった。しかし、そうでない人にしてみれば、これは一種の悪徳商法なのかも知れなかった。
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