★ 焼きウニを手軽に食べようと、手抜きし過ぎて大失敗

実家の両親が、北海道旅行に出かけている様子。「旭山動物園と円山動物園に行きたいが、交通費と宿泊費と休日確保の点から、一生の内にも難しいかも……」と諦めムードの私からすれば、羨ましいことこの上ない。しかし私の両親は、自分達が飼っていた亡き愛犬と今も飼っている金魚を除けば、動物にさほど興味がないので、動物園に行って写真を撮って送ってくれたり等はしない。せいぜい、自分達の好物であるところの、新鮮な海の幸を惜しげもなくお裾分けしてくれる程度である。それだって、本来なら嬉しいに違いないが、ナマモノを一度に半端ない量送ってこられる物だから、実際には「嬉しさ半分困惑半分」といったところである。

今回は、送られてきた海産物の中に、大量の「焼きウニ」がにあった。ガラス瓶に海水と共に詰めて販売される、「生ウニ」ならば、欠片も臭みが無くて甘味と旨味だけが濃縮されていて美味しく、好物である。「水気を切った生ウニに塩を混ぜただけ」だという「塩ウニ」は、そのまま食べるには塩気が強すぎるが、熱々のご飯にのせたりパスタに絡めたりすると、ねっとりとした食感もあって、こちらも非常に美味しい。だがしかし、「焼きウニ」は……。「焼きウニ」って、結局の処、一体どうなんだろう。正直な話、これまでの人生で、私が「焼きウニ」の真価を理解したと感じた試しはない。

ならば、ゼロから物語を始めよう。何せたくさんあることだし。ではまず今日は、冷蔵庫保管で冷え冷え状態の「焼きウニ」を、同じく冷蔵庫保管で冷え冷えの「豆腐」に乗せ、醤油をかけて「海鮮冷奴」として食してみた。「焼きウニ豆腐、手軽に完成！」と喜んだのは作った直後だけで、いざ食べてみるとあまり美味しくなくて、「これどうしよう……？」みたいな気持ちになっていったが、製作者の意地で何とか食べきった。「焼きウニ」はもしかすると、加熱しなければ美味しくならないのかも知れない。

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