「渋谷で今話題の飲食店」だなんて、普段の私ならば、バリバリ敬遠するスポットである。仮に興味をもったとしても、「話題性が薄れて人が減ってからにしよう……」となる。しかし、昼休みに職場の同僚達から、「今日はあそこへ行こう!」と指定された場合、それを波風立てず上手に断れる社交技能は、残念ながら私に備わってはいない。おとなしく付き従い、行列に加わる以外に無い。しかし、そんな風にして、「自分本位なら決して選んでいない選択」に身を委ねれば、時に思いも寄らぬ収穫が得られるのも事実である。
その数日後の夜、私は友人を伴って、再び「東京トンテキ」にやってきていた。昼間と違って並ぶ事もなく、スムーズに店内へ。そして私達は、先日食べてとても美味しかったので是非とも友人にも勧めようと思ったところの「東京とんテキ」と、先日注文しようとしたら「焼けるのに十数分かかります」と言われて限りあるランチタイムには仕方なく断念したところの「東京とんバーグ」、を注文した。
「トンテキ」は、どっかりでっかくて分厚い豚肉が、フライパン状の鉄板の上でじゅうじゅう火が通っていて、かなり濃いめの甘辛の味付けで供される料理である。見た目はワイルドを通り越して雑だし、私は濃い味の料理があまり好きではないのだが、その“苦手分野”という身構えを吹き飛ばす勢いで美味しかった。若者メシにありがちな、雑な味付けではない。果物や野菜の甘みがもたらす何か? とにかく、申し分なく美味しいのだった。
そして「トンバーグ」はというと、文字通り豚挽肉で作られたハンバーグなのだが、下手な牛or合挽きハンバーグよりもずっと、ジューシーで肉の旨味が出ていて美味しかった。分厚いのに中までしっかり火が通っているのも安心。肉をワイルドに味わいたければ「トンテキ」、量を堪能したければ「トンバーグ」、といったところか。
カメラニャン&家政婦が見てたフォルダが火を噴くぜ! 的な猫画像(以上2点、ねこメモ)