話は大地震の日に遡る。私は、残業中の飢えこそ、帰宅できず会社に残った人達が買ってきてくれたお菓子でしのぐも、それはそれとしてちゃんとした夕飯にも、家へ帰り着くまでの長い歩きの道中で調達する段取りでいた。しかし、道中目に付くコンビニは、軒並み食料品壊滅で下手すれば臨時休業。飲食店も、早々に臨時休業もしくは、狭い店内を常連と思しき人数で籠城しているように見受けられる状態。お腹を減らしながら歩き続け、遂に新宿に辿り着いた。
新宿・歌舞伎町は、思わず笑ってしまうぐらいに、あまりに普段通りの様相であった。通りを歩く人の数こそ少ないが、その少なめな人々に、慣れた客引き達が次々と声をかける逞しさ。不謹慎かも知れないが、少なくとも私にとっては、「非日常に乗じて、日常からはみ出しちゃいました己を気取る輩」なんかに比べれば、はるかに安心が感じられた。東京は、こうであって欲しいと思った。
普段通りに見えた歌舞伎町で、実際何処までが普段通りだったか定かではないが、ここでは食に対する不安を抱かずにいられた。都内数箇所で目にして、いつか行ってみたいと思いつつ機会を得られず、だったらこんな機会こそどうだろう、と足を踏み入れたのは「楽釜製麺所」。讃岐うどんチェーン店の一つである。選んだ釜玉うどんは、今まで食べた讃岐うどんの中で一番の強い歯応えで、それがその分美味しいかと問われると微妙だが、したたかさが感じられて、この日の気分には合っていた。付け合せた蓮根の天ぷらは、驚くほど大きくて、それがその分美味しいかと問われると微妙だが、逞しさが感じられて、この日の気分には合っていた。
やれること(晴れのちニャンコ日和)・メモリー(せかニャ!!)/母猫の愛情(ねこメモ)/【恐怖体験】夜寝ているとたまに布団の上、腹の上に重みを感じるようになった(※テキスト※/ねこメモ)