★ 辛来飯＠ニューキャッスル

所用があって、銀座に出た夜。この日はどういった理由だったか、真っ直ぐ帰るのをつまらなく感じ、銀座の街を地味に徘徊していた。ソニービルの巨大水槽を眺め、不二家でミルキークリーム系スイーツを買って、物足りなさはある程度満たされた。しかしどうせなら、銀座で食事まで済ませ、完璧に満たされて帰りたかった。かといって、あては全くなかった。何となく、気の向くままにふらふら歩いていた。そんな私に、“食いしん坊の神”が味方した。本当に適当に歩いていたのに、あの、かの、「辛来飯」の店の前まで辿り着いたのである。

喜色満面で入った店内の趣は、「夜はお酒も出す、こぢんまりとしたレトロな喫茶店」。しかし壁のメニューには、ドリンク類と並んで、辛来飯の表示もちゃんと並んでいた。即ち、ボリュームに応じて、ミニ盛りが「品川」、普通盛りが「大井町」、大盛りは「大森」、更に上は「蒲田」。この日は疲れ気味だったので、あまり量は食べられないだろうと「品川」を注文しようとしたら、店の人に非常に少量であると説明され、恐る恐る「大井町」を注文した。あと卵も、別途注文したんだっけか？　出てきた「大井町」は……確かに、いわゆるレディースサイズよりも少な目。普通の人は「大森」を、男性なら「蒲田」を頼むぐらいでちょうど良いのだろう。

さて、カレーそのものの見た目はというと、非常にオーソドックスな“日本のカレー”。だが、スプーンですくっていざ口に運ぶと、見た目ほど平凡ではなかった。どろりと非常に濃厚でまろやかな中に、しっかりとした辛味があり、私の舌には卵と合わせて程良い塩梅。量を食べていないにも関わらず、またそこまでは辛くないにも関わらず、身体中が燃えるように熱くなった。辛さの中ではニンニクの風味が強めだが、ニンニクでここまで身体が火照った記憶はないから、そういった作用のある何らかの香辛料も使われているのだろう。美味しいばかりか、新陳代謝が活発化する雰囲気まで味わえて（実際に活発化してるかは不明）、とても気に入った。銀座に出る都度、帰りに寄っても良いかと考えている。

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