2010-02-28 ゴキブリに背後から襲われる 他 [長年日記]

ゴキブリに背後から襲われる

室内に座していると、服の背面の裾を、くいっと軽く引っ張られる感覚があった。私はその感覚から、「背後を通りすがろうとしたゴキブリが、脚の棘々に私の洋服の生地を引っかけた」状況を、瞬時に“理解”した。理解は一瞬だったが、次に取るべき行動は全く見えなかった。目が届かない背面故に、狙いを定めて振り払う事はできない。刺激を受けたゴキブリがどんな無軌道な行動に出るかを考えると、無闇に振り払う訳にもいかない。そうやって、何もできずにいる内に、身を翻したゴキブリは私の衣服を駆け上がり、そこで180°回り込んで、衣服で覆われていない私の喉元に達した。冷たくしっとりとした、妙に柔らかい感触が、肌の上を生々しく走った。万が一このまま口元にまで到達された場合には、生理的嫌悪感の枠を越し、衛生面でも拙い事態に陥るであろう。もう他に取るべき行動はなく、私は必死に顎を仰け反らせ少しでも距離を稼ぎつつ首を振って口元をガードしながら、誰か近場の人の助けを求めた――。

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この上なくわかりやすい、悪夢。目が覚めて冷静に振り返ってみるに、ゴキブリの感触が「冷たくしっとりとした、妙に柔らかい感触」であったのには、納得できかねた。虫であるゴキブリは、冷たいと感じるほどの温度差を持たず、体表は油でベタついており、外骨格故に身体は固く強ばって脚はトゲトゲしているものである筈。じゃあ、夢の中のあの、「冷たくしっとりとした、妙に柔らかい感触」はいったい何だったかというと、推測するに、私の記憶の中から取り出された、ヤモリの触感であった。ゴキブリに直接触れた事がなかったから、触れた事がある別物の記憶が代用されたのだろう。自分の想像力に限界があって、しみじみ良かった。

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500fpsで撮影した、蛙の捕食失敗動画。舌が伸びると共に身体も下からせり上がってくるが、トンボは間一髪かわし、蛙は前足を空しくクロスさせた後、無様な体勢で水面に落ちていく。<“Frog Fail 2”


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