横浜には私の知る範囲で、「キャンディストリート」と「らっきょ」という、それぞれ美味しいカレー屋がある。横浜に行く頻度が少ない故に、この2軒でさえも満足に通いきれてないというのに、野毛に比較的新しくできたカレー屋があると聞くと、そちらにも行ってみたくなるのが人情である。野毛は野毛山動物園の麓であり、日の出町駅を下車して野下山動物園に向かう前の腹ごしらえに行ってきた。
光音座の前を通り、「『優しすぎる獣』の対義語は『冷た過ぎる草食系男子』だろうか?」を考えている内に、目指す店「野毛山カレー食堂」に到着。鄙びた街にオシャレカフェ風の店構えは、「オシャレな街のオシャレカフェ」や「鄙びた街の鄙びた飲食店」と違って、一見でも割と気兼ねなく入りやすい。同行者が日替わりのイエローカレーを食べるというので、私のほうはメニューの二大柱であるらしい「とんこつカレー」と「ブイヤベースカレー」の両方をいっぺんに味わえる、ダブルカレーセットを注文してみた。Wといっても、量は2倍ではないので念の為。
実のところ、私はとんこつスープがあの臭い故にそれほど好きではなく、今回注文したのも「横浜に通う機会が少ないから、一回に用事を済ませちゃえ」という動機によるものであった。カレーになれば幾分臭いも和らぐだろうと踏んでの注文だったのだが、これはズバリ的中していて、臭いを気にせず骨の旨味だけをカレーの香りと共に味わう事ができた。ラーメンのトッピングそのままな、具のチャーシューと半熟卵も美味しかった。ブイヤベースのほうは、魚介類の旨味と香りが濃厚だけれども胃に全く触らず優しく、カレーとはとんこつに負けず劣らず調和していた。こちらの具は、海老と何だったかとあとキノコで、そのまんまに美味しかった。
という訳で、1回の食事でとんこつもブイヤベースも両方満喫し満足。これで思い残す事はない――という事にはならず、美味しかったのだから当然次の機会を得て再訪したいところ。残ったメニューで気になっているのが、「超こってりニンニクとんこつカレー」。とんこつのこってりは苦手なんだろうけど、そこにニンニクが加わった時の化学反応ぶりを確かめたくて……。