先日、社内(同じ勤め先に勤める、同じ請負会社の内部)で、ちょっとした飲み会があったのだが、店へ向かう途中での歓談に、あのわさおの話題が登場した。私の目からはいつも、はてブと自ニュとその周辺で拡散し収束するように観測されがちであるネット発の話題が、こうやって自分のリアル周辺にまで波及するのは、かなり稀な事態である。そしてそれが、前々から好んで閲覧しているはてダ発の話題であれば、我が事のように喜ばしい気持ちにもなるというもの。――がしかし、今回は素直に喜べなかった。と、言うのも。
「ねえねえ、『ぶさお』って知ってます?」
「レオ」から現「わさお」に改名されたとされている彼は、その場で更なる新たなる名前を授けられようとしていたのだった。語感的には「わさお」と大差ないけれども、意味的にはだいぶ気の毒な感じになるというか、ぶっちゃけこれって普通に罵倒だよね?と確認しておきたい名前に。
「あー……その犬につきましては、少し前から存じ上げておりますが、確か『ぶさお』ではなく『わさお』というお名前であったかと」
「ぶさお」が放つ面白おかしさそして可哀想さに絶句しそうなところを、わさお及びそのファンを慮って訂正を試みてみると、発言者はきょとんとした風でこう返した。
「えー? 不細工だから『ぶさお』なんじゃ、なかったでしたっけ?」
話題が拡がる過程でいつしか、「ブサかわいい」の形容句が定番となっていった、わさお。私はこの「ブサかわいい」の「ブサ」は、わさおに対する使用に限定して言えば、「標準の犬が持ち合わせている可愛らしさとは別種なんですけれども」的断り書き、或いは照れ隠しのようなものだと思っていた。しかし世間はもしかすると、わさおをストレートに不細工と見なした上で、持てはやしているのかもしれなかった。
わさおレベルが不細工と評される世界に、私みたいな出来損ないの存在する余地はあったのだろうか。今更ながら不安に駆られ、胸がざわついたのだった。
ケープペンギン 幸せだ~(動物の写真)・春嵐(アムールトラ?/やきにく写真日記)