出勤前、路上に小さい蝉が落ちているのを発見した。盛夏から初秋にかけての風物詩であるが、落ちている蝉を踏むのも気まずいし、足元から急に飛び立たれて驚くのも不愉快である。だから私はこの時期、足元に気をつけて歩き、見つけた蝉がもしもまだ生きていた場合には、近隣の樹の幹まで避難させることにしている。
今朝私が見つけた蝉は、まだ辛うじて生きていた。ひっくり返っている処へ指先を突きつけて止まらせ、それから周囲を見回すと、隣家の玄関先の植え込みが目に留まった。よし、ここに避難させよう。蝉を指先にぶら下げたまま隣家の玄関先にお邪魔し、植え込みに指を近付け、そっと移らせた。よし、成功。願わくば、ここでそのまま安らかな死を迎えますように。
小さな成功に小さく喜びながら、隣家の玄関先を離れようとする私の背後に、何処か外出先からちょうど戻ってきた隣家の車が停まった。小さな喜びは大きな気まずさに取って代わり、何か問われたらどう答えるか悩んだが、幸いスルーされたのでそのまま逃げるようにその場を去った。これからは、他人の家でなく街路樹や公園に、蝉をリリースすることにしよう……。
飛蝗の日(バッタ他/coco's bloblog)・25年ぶりの再会(キガシラコンドル/動物園写真館 本館)/このスレは虎に監視されています・・・(ねこメモ)