有名なパン屋である木村屋は、銀座に総本店がある。階上の喫茶やらレストランやらには、歴史的重みと立地に勝手なプレッシャーを受けて身が竦むが、1階のパン屋なら安心して購入できる。幾つかのデパ地下でお馴染みの品揃えだからである。
とはいえ、さすが本店だけあって、デパ地下よりも品揃えが豊富(なような気がする)。木村屋と言えば、酒種で発酵させた甘い生地のあんぱんが一番有名だと思われるが、世間的にはあんぱん・クリームパンと並んで三大巨頭として定番である、ジャムパンも陳列されていた。しかしこのジャムパン、定番の苺ジャムではなく、私の大好きな杏ジャムであった。後で調べたところによると、かつてのジャムパンは杏ジャムパンがポピュラーだったんだとか。「昔のほうが私にとって暮らしやすい時代だった……」と妄想する根拠一つと、ジャムパンと、ついでにいちじくのマフィンを手に入れて帰った。ジャムパンは、酸味のパンチが効きすぎていない、パンにあった上品な美味しさであった。
牛の助け(梟/動物園写真館 本館)/「まだまだ子ども、じゃれあうゾウたち ドイツ」(AFPBB News)