2011-01-06 正月過ぎた頭で考えた、「グルーポンおせち」の件 他 [長年日記]

正月過ぎた頭で考えた、「グルーポンおせち」の件

正月早々、ネットで熱い注目を集めた「グルーポンおせち」の件(→「グルーポンの「バードカフェおせち問題」まとめ」)。食への終着が強い私は当然、強い関心を抱きつつも、自身におせち料理を食べる習慣がない為に、「一年に一度の特別な料理を台無しにされた気分は如何ばかりであろうか……」と想像を傾けてみても、リアルな痛みとして感じる事ができずにいた。例えば、クリスマスケーキに置き換えてみたところで、ケーキは所詮嗜好品であり、おせち料理の位置には届かないと思われた。

しかし、正月が明けて仕事に出て、徐々に仕事モードに切り替わりつつある頭で、少し距離を置いた立場から改めて考えてみたところ、件の会社の対応は、相当に酷いのではないかと思われた。ので、それを書き留めておく事にした。

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まず、「全額返金」について。提供した商品が、予告していた仕様を満たさなかった場合、「全額返金」は必要最低限の対応に過ぎない。全額返金により、商取引は行われる前の状態に戻るが、一緒に時間も巻き戻りはしないので、消費者は「希望の商品を希望のタイミングで得られなかった」という、いわば損をした状態である。この損失を何とか埋めて初めて、とんとんの状態に持っていける。しかし、消費者の苦々しい記憶が掻き消えなければ、次回の商取引の機会が失われてしまう。消費者は、商品を選ぶに際して、己の感情を殺した公明正大な判断を行う必要なぞないのである。ここまでひっくるめて覆そうと考えるならば、もう一踏ん張りが必要となる。つまり、「全額返金」如きの対応では、全然足りていない。

次に、「責任者退陣」について。責任者が責任を取って退陣し、他の担当者と交代するという行為は、あくまでも社内及び、継続的な取引を行う先に対してのみ、限定的な意味を持つアピールと考える。即ち、「To:社員 こういう下手を打てばこういう処分を下さざるを得ないから、ゆめゆめ轍を踏んでくれるなよ」「To:取引先 今回の不祥事に対しては、このような人事含む再発防止策を取ります故、くれぐれも従来通りのお付き合いをお願いしたく存じます」と。消費者は、「ここの商品を継続利用したい」というリピーターを除いて、気に入らなければもう買わないだけの間柄に過ぎない。補償を受けるのは当然の権利であるが、それは弁明を聞く義理とセットではない。

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