2005-03-14 北寄貝と毛蟹のトマトソースパスタ/ニュースいろいろ/「箪笥」/「オープン・ユア・アイズ」 [長年日記]

[ダメ料理] 北寄貝と毛蟹のトマトソースパスタ

私の両親は今回北寄貝を送ってくるにあたって、剥き身の他にワタも同梱してきていた。「料理に使うと美味い」んだそうだが、普段の料理すら四苦八苦している娘が、一体どうやって貝のワタなんて不慣れな食材を活用できるというのか。しかし活用できないからと言って捨てるのも気が進まないので、助っ人を呼んで献立の考案及び調理を一任する事にした。助っ人の人は美味しいトマトソースパスタを作ってくれた。以下、調理手順聞き写し。

  1. 毛蟹をキッチン鋏でひたすら解体し、指先に甲羅の棘が刺さって血が滲むのを堪えつつ殻から身を掻き出す。
  2. フライパンにオリーブ油を入れてニンニクを炒め香りを出す。
  3. 適当に切った北寄貝の身とワタとほぐした蟹の身を加え、更に炒める。
  4. 市販のトマトペーストを加え、塩胡椒で味を調える。具に塩気が含まれているので、塩は控えめに。

毛蟹も北寄貝その他と一緒に送られてきた代物。蟹のパスタなんて、外食で食べる事はあっても自炊で食べる事はあり得ないと思っていたのだが、実はこんな風にちゃんと作れるものなんだなー、と感心した。もっとも、他の人がちゃんと作れたからといって私が作れるというモノでもないし、私が蟹を使って小面倒臭げな料理を作る事態は想像もつかない。毛蟹なんて殻を剥くのも私には難易度が高く、鍋かお味噌汁に丸ごと放り込んで出汁にしてしまうのがいちばん無難という有り様である。

[動物] 萌え猫画像/萌えアニマル画像

萌え猫画像 紙袋パニック(とんぢる劇場(3月14日付))・驚愕(ネコと映画と私(3月14日付))・嫌そうな顔(ほんわか写真日記(3月14日付))・トラジくん、あらあら、テレビの上は最高ですか。(フクトラ日記  〜黒猫&トラ猫の生活日記〜(3月13日付))

1件目、パニックに陥る仲間を遠巻きにしてクールな視線を送るとん劇ファミリーに萌え直した。

萌えアニマル画像 「眠り・・・かわいい動物の寝姿・・・♪♪」(知識の泉 Haru’s トリビア(3月14日付))

シャーペイの寝顔の可愛らしさは、仔猫のそれを凌駕する。

[食べ物] 鶏卵値上がり/とんかつソース自作

「<鶏卵小売価格>1パック、7週連続で値上がり」

卵は、年末高騰→1月急落→2月上昇→3月下落 という値動きをするものなんだそうである。なのでそろそろ安値に転じるようである。

「夢のとんかつソースに挑む」

とんかつ屋のソースに倣って、とんかつソースを自作する試み。ソースの材料となる野菜は、(全てのソースがそれで作られている訳ではないだろうけれども)玉葱・トマト・人参・セロリー・生姜・リンゴ・ニンニク・プルーンといったところらしい。が、これらを律儀に揃えずとも、これらを使ったジュースに調味料やオールスパイスを入れて煮詰めて漉せば、美味しい自家製ソースができあがるようである。

今まで食べたとんかつ屋のソースでは、勝烈庵のものがいちばん美味しかった。横浜と鎌倉でしか味わえない味。もう少し暖かくなったら鎌倉に出かけて、そこで勝烈庵のカツを食べるのもいいかなあ。

[その他] 愛地球博「大地の塔」はフミヤプロデュース

「世界最大の万華鏡『大地の塔』を公開」sea of tranquility(3月13日付)より)(→関連:EXPO 2005 AICHI.japan 愛地球博 名古屋市パビリオン「大地の塔」 & 2005年国際博覧会 名古屋市HP 電脳絵巻N−EXPO PAGE 名古屋市パビリオン 大地の塔

万華鏡の美しさは巨大化しても損なわれないどころか一層の迫力を伴うに違いなく、とても期待。問題は観に行くだけの時間及びお金の余裕が作れるかどうか。

ところでこの「大地の塔」の総合プロデューサーは、かつてPSの3D万華鏡ソフト「ベイビーユニバース」もプロデュースしていた藤井フミヤ。今やまるですっかりアートの世界の人のようである。しかしたとえ世間が忘れても、私はあの「ダサ可愛いチェックのブカブカシャツを重ね着していた藤井郁弥」の姿を忘れない。同じく、今のように役者兼芸術家として振舞う以前の、「熱々のおでんを無理矢理口に突っ込まれて転がり苦しんでいた片岡鶴太郎」(画像拾えなくて残念)の姿も忘れない。

[VIDEO・DVD] 箪笥(主演:イム・スジョン/監督:キム・ジウン)

TSUTAYA online 作品紹介

父親と共に、新しい母親の待つ家に越してきた姉妹。精神を病み妹を虐待する継母、怯え泣き喚く以外に手立てを知らない妹、過剰なまでに妹を思い遣り昂然と継母に反抗する姉、何故か新しい妻にも娘達とも距離を置こうとする父親。この歪な一家では、「箪笥」の話題を持ち出す事がタブーとされていた。

話が佳境に入るまでに鬱々と繰り広げられる、狂気を孕んだり剥き出しにしたりした家族の会話や行動には、思わずモニター前から逃げ出したくなるような息詰まる緊迫感と圧倒的な重苦しさがあり、観ていて大変気分が悪かったがとても面白かった。また、事件の顛末が語られた一番最後に、プロローグにあたる場面を持ってくる構成は、やり切れない哀しみを湧かせて締めくくる巧い構成だと思った。調度品は立派に整っているのに冷たい空気が漂う家も、整った顔に浮かべるヒステリックな表情や怯えが良く映える女優陣達も、話にぴったり馴染んでいて良かった。

しかし肝心の佳境の部分が、佳境以前に醸成されたホラー気分をごっそりかき消すのは正直頂けなかった。暴かれたカラクリに「あーなるほど」と膝を打ってスッキリ納得するのは、少なくとも私がホラー映画に期待するものではない。またホラーには、「超自然的な存在って怖いよね」と訴える作品と「人間がいちばん怖いよね」と訴える作品があり、どちらにもそれぞれの良さがあるのだが、この「箪笥」は結局どちらかはっきりしないのがホラー作品としてウィークポイントかな、とも思った。

[VIDEO・DVD] オープン・ユア・アイズ(主演:エドゥアルド・ノリエガ/監督:アレハンドロ・アメナバール)

TSUTAYA online 作品紹介

自由な財産と人が羨む端麗な容姿を持ち、気ままに暮らしていた青年セサル。どんな女とも一度しか寝ない主義の彼は、珍しくも2度ベッドを共にしたヌリアから彼女面され鬱陶しく感じていたところに、友人に女優志望のソフィアと引き合わされ、今まで一度も感じた事のない真摯な愛情をソフィアに抱く。友人を出し抜いてソフィアの心を射止めかけたセサルだが、彼の心変わりに危惧を抱いたヌリアが仕掛けた捨て身の罠に嵌り、九死に一生を得たものの顔面に手の施しようのない無惨な傷を負わされる。その日から彼の人生は一変、悪夢とも現実ともつかない日々に囚われる。

「バニラ・スカイ」の原作。「バニラ〜」を観たのが2年以上も前なので記憶は不確かだが、配役や多少の演出の違いがあるだけで話の筋はほとんど同じだったと思う。「バニラ〜」は予算の差等で派手で見映えする作り、「オープン〜」は静かな切迫感と妖しい雰囲気で、それぞれ別の魅力があってどちらが上というモノでもなかった。両方を見比べて甲乙つけるよりも、それぞれの違いを味わったほうが私には楽しい。という訳で、(「バニラ〜」を先に見ている以上改めてストーリーに対する感想は沸かないので)それぞれのキャラに対する感想の違いなんかを書く事にする。

  • 「バニラ〜」の主人公デヴィットは、トム・クルーズの締まりのない笑顔の効力もあって、とにかく中身のない軽い男という印象だった。中身がないから、手に入れかけた魅力的な恋人と自慢の顔を失った時に、自分という存在を確立する縁として両方を取り戻そうと必死に足掻いていたような。「オープン〜」のセサルは、私の目には格別ハンサムに見えなかったせいか、自慢の顔に基づく優越感が具現化した鼻持ちならない奴に見えた。彼が顔の再現に固執したのは、顔こそが彼そのものであったからような。
  • ソフィアはどちらの作品もペネロペ・クルスが演じてミステリアスな魅力たっぷりだったが、「バニラ〜」のソフィアがパントマイム含めてエキセントリックな印象だったのに対し、「オープン〜」のソフィアには落ち着きある印象だった。単純に出演時の年齢の違いかもしれない。「『オープン〜』のソフィアのほうが一層魅力的」という説の根拠は理解できたが、個人的には「オープン〜」のソフィアは友達に欲しいタイプで、「バニラ〜」のソフィアが憧れるタイプという区分け。
  • 主人公を自爆に巻き込むストーカー女は、「バニラ〜」と「オープン〜」でそれぞれ好対照な造形だった。「バニラ〜」のジュリーがキレた言動で動的な狂気を撒き散らし、「オープン〜」のヌリアは内に溜まって溢れ出した静的な狂気を醸し出し、どちらも別種の怖さ。なおかつどちらも、それぞれのソフィアと対照的な存在として置かれているのが巧い。自分がどちらかになって酷い男に復讐するとしたら、私だったらヌリアが良いかなあ、悪足掻きすら美しいので。

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