2002-04-05 馳氏への理論的&感情的な反論/ベロ出し猫レオン [長年日記]

[日記読み]馳星周の作品は読んだ事がない、と前置きしつつ……

テ庵のここ最近の話題は、馳星周が書いた読書家啓蒙文「おれたちは絶滅するか?」(Hase’s Note・2月3日付)らしい。この一連の流れは「ギネスビールの泡」(3月30日付)が発端だと私は思っているけれど、他の人がどう思っているかは関知しない。また私は図書館には縁遠い生活を送っているので、古本屋のみを対象に話をする。

私は本を変質ならぬ偏執的に深く愛している。日本の出版業界を守る為に「読んだ本を捨てる」、より更に先、今後も本が出版され続ける為に「海外の森林を無駄に伐採しない」事が大事だと考えている。その観点では、新古書店は存在悪たり得ない。馳氏は、新古書店に「利益の一部を作家や出版社に還元せよ」と要求するのが、遠回りだけれども無難な筋道と思われる。例えば作家の印税は価格の1割という話だけど、そういった値段が古本価格に上乗せされたとして、事情がわかれば購読者の大半は抗議の声を上げないだろう。

私はまた、マイナージャンルを愛している。ファンタジーは「ハリー・ポッター」「指輪物語」映画化の影響で一時的に売り上げが上がっても一過性の追い風に過ぎず、SFなんて冬の時代が続きっぱなしである。この手の本は、ネット上の読書感想サイト等で興味を持った時点で既に絶版、古本屋にだってなかなか出回らない。運良く見つけて買っても、著者や出版社に何一つ貢献できていない哀しさ。マイナー作家やジャンルこそを支援したいのに。売れっ子作家馳星周の文章には、僻み根性や被害妄想だと頭でわかってはいても、底辺ジャンルファンの心の傷に塩をすり込まれたような思いを感じずにはいられなかった。

私の結論:「馳星周のような『ベストセラー作家』の本を今後は積極的に古本屋で入手、浮いたお金+αをマイナー作家&ジャンル&出版社に充てる」

[レオン]ベロ出し猫80%

レオンが悪さをした時に頭を軽く叩くと、口から舌の先がほんの少しだけはみ出す。とても可愛いが、何故舌が出るのか不思議に思い、レオンをつかまえて口の中を調べてみた。

下の前歯がなくなっていた。

本日のツッコミ(全10件) [ツッコミを入れる]
y (2002-04-06 14:18)

私何もいい案が浮かばなかったんですが、実際的なアイデーアだと思いました。BOOKOFFのダンピングぶりったらすごいけど、美品で廉価だったら欲しくなるのも事実。例えば今100円で売られてる新古書が120円になっても缶ジュースの値上げ程度のものに感じると思う。それがマイナーだが志ある作家や業界、出版社に還元されるんだったら皆喜んで払うと思います。具体的に言えば二割ぐらいはなんでもないな、私。ルートが明快であれば尚良しですね。

y (2002-04-06 14:25)

あ、すみません。素光さんは元の値段の一割(印税分)とされてるんですよね。私ったらケチすぎ‥。1900円の本が100円だったら290円にして、190円を還元、と‥じゃあこのへんでサヨーナラ。出直します。

素光 (2002-04-06 16:11)

いや、私は文庫本購入派なんで、単行本の場合を考慮していなかったです(笑)
古本価格より高い還元利益はちょっとイヤかも……

jouno (2002-04-06 17:02)

たしかにおなじことでも余人ならず馳星周にいわれる筋合いはないよなあ。笙野頼子とか町田康とか古井由吉とか、SFマガジン大丈夫なのかとか、ああ、それをいったら現代詩なんて……創元とかもうかってほしい……文芸文庫はやっぱりつらいし……シェアウェア・フィーみたいなシステムがあればいいんですよね。復刊ドットコムより一歩踏み込んだりして。

umeya (2002-04-06 18:02)

なぜベストセラー作家が言ったかというと、売上がそれ以下の人が下手に同じことを言うと、シャレにならなくなるからじゃないですか。私は馳星周のあの文章はまともな主張を普通に書いていると思ったけど、「読者に要求する作家の本なんかもう買わない!」って怒ってる人がずいぶんネットにもいるでしょう。日本推理作家協会とやらの理事でもあるわけだし。ところで、赤川次郎はもうベストセラー作家ではなくなったのだろうか。数年前まで満員電車で漫画でなく活字本よんでる人は必ず赤川次郎だったけど(今はいろいろいます)。

素光 (2002-04-07 12:02)

出版業界の基礎知識<http://crekin.net/syuppan/syuppan.htm>
2000年高額納税者番付・作家<http://www.nikkansports.com/news2/entert2/2001nouzei/writer.html>

素光 (2002-04-07 12:29)

今回は「馳氏への理論的&感情的な反論」と銘打っている通り、後半は感情論に過ぎません。
建設的な提言?としては「古本屋さんから利益を還元して貰って下さい」だけで終わりなんです。
仮に馳氏の文章と一言一句同じものでも、「日本SF作家クラブ会長」の神林長平氏や
「大御所」筒井康隆氏の文章だったとしたら、不満を述べなかったかも知れません。 ダメじゃん。

●復刊ドット・コム<http://www.fukkan.com/>
絶版本&品切れ本の救済(読者&作家&出版社の救済)には繋がっても、
古本市場で既にダブついている本の救済(作家&出版社の救済)には繋がらないんですよね。
この辺の問題は、本だけではなくCDメディア等にも関わってきそうです。ていうかそっちが先か。

●赤川次郎
「万人向けの軽い読み物」としては随一の作家だと思うんですけど、人気落ちてるんでしょうか?
私は小学生の時に森村誠一や松本清張を読んでいて、中学生で初めて赤川次郎を読みました。
「漫画みたいにさくさく読めて面白い本」に、目から鱗が落ちる思いでした。

umeya (2002-04-07 13:10)

c05は、元の馳さんの
>今の日本で本来の意味でベストセラー作家なのは宮部みゆきだけだ)、
を見て素朴に思ったんです。場所違いのレスに
>c06で統計資料どうもです。2000年度ではまだ赤川>宮部ですよね。

素光 (2002-04-07 13:17)

あ!もしかして赤川次郎の位置に宮部みゆきが置き換わったって事なんでしょうか?<昨今の宮部みゆき人気
安室奈美恵&華原朋美の位置に浜崎あゆみ、鈴木あみの位置に松浦亜弥みたいな感じで。

素光 (2002-04-07 14:00)

安藤昼彦さん「才蔵」<http://diary.lycos.co.jp/view.asp?QnDiaryId=17552>
「馳星周エッセイを巡って」(4月7日付)に「馳星周氏サイトのリンクはトップしか貼れない」とあったので、
確認して慌てて直しました。リンクについて先日自分の見解を確認したばかりなのに、忘れるなんてダメ過ぎ。

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