厭世的で独断的、オカルトに偏重した知識を持つ「魔王陛下」空目(うつめ)に 彼女ができたという知らせは、空目の友人達を震撼させた。 しかし、その彼女あやめの正体が「神隠し」であった為に、 空目と友人達は奇妙な物語に巻き込まれていく……
本屋で平積みされていた3巻「首くくりの物語」に興味を惹かれたので、とりあえず1巻から読んでみる事にした。
ページをパラパラとめくって「文章が無駄にまわりくどくて読み辛い」という第1印象を抱き、序章の辺りはとても苦労しながら読んだのに、途中からハマってしまってラストまでノンストップ。文章は前述の通りだし、キャラクターは「孤高の切れ者(屁理屈好きのひねくれガキ)」多数と「凡人(無能)」少数の組み合わせで新鮮さにも魅力にも欠ける。しかし、「果てしない物語」の逆パターン的多重構造を為す?「物語として伝播される事で人々に『感染』する『異界』」との設定と、青臭く適度にイタくて上遠野浩平テイストな理屈臭さも漂う雰囲気とが、私の好みにぴたりと合っている。小道具の象徴的散りばめ加減がCLAMPを彷彿とさせるイラストも、この作品に似合っている。掘り出しモノ。
夜、ネットであちこち徘徊していたら、テーブルに上がってきたレオンがキーボードのそばで横になった。構ってくれくれサインである。その姿は確かに可愛らしくて構いたくはなるけれど、見慣れてしまっているせいで持続的牽引力は低い。頭やおなかを10秒くらい撫でてあげた後、「これで私の務めは果たしたから」とサイト閲覧に戻った。
しかしレオンはその程度の扱いでは気に入らなかったらしく、再び邪魔をしかけてきた。今度はマウスを握る私の右手にアゴを乗せてきたのである。可愛いとか構いたいとかいう問題以前に、PCが操作できない状態。私の完敗。……と見せかけて、右手をそのままスライドさせてレオンをテーブルの上からはたき落とす。めげないレオンはふりだしへ戻り、馬鹿飼い主と馬鹿猫の夜はこうして更けていく。