住宅地の中にその風俗店はあった。 見た目は普通の民家だが、入り口には 「○時間○千円ポッキリ!」と書かれたピンクの看板が立っていた。
私がその店の手前を歩いている時に、1人の中年男性が店内へ入っていった。 開いた扉から、露出度の高い服を着た割と可愛いお姉さん3人の姿が見えた。 「3人まとめてしっぽり可愛がって下さいね♪」という声が聞こえてきたので、 私は「この店は客1人に対して強制的に女の子3人ついて 料金も看板の3倍になるシステムなのか」と 1人納得しつつ店の前を通り過ぎようとした。 が、店の前を通り過ぎた瞬間、今度は女性の罵声が聞こえてきた。
「お客さん、そんな端金でうちみたいな店で遊べると 勘違いしてらっしゃったんですか!?」 「看板には『○千円ポッキリ!』って書いてあるじゃないか! インチキみたいな商売しやがって!」
再び開かれた扉の向こうにはママと思しき中年女性の姿。 先程の客は店の外で必死に抗議の声をあげている。 看板に書かれた以上の料金を携えてこなかった客に 門前払いを食わそうとしているママと逆ギレした客が揉めているらしい。
私は、大の大人が往来でみっともない喧嘩をしているのがとっても可笑しくて、 大笑いしながら彼等を指差して叫んだ。
「ボッタクリのママと貧乏人の風俗客があそこで喧嘩してるぅ!」
狼狽した彼等が私や他の通行人に向かって 必死に否定の言葉を口にするのを尻目に私は家に帰ったのだった。
……なんつーか、こまっしゃくれた子供を演じたいんだろうな、私って。それにしても性格悪過ぎ。