2011-05-19 冷やし中華@春木屋本店 他 [長年日記]

冷やし中華@春木屋本店

荻窪ラーメンの名店で、最も有名と思われるのが「春木屋」。荻窪北口の商店街内にあり、荻窪ラーメンブームが去って随分経つ今尚、時折行列を為している、私も知っている店である。――と思っていたところが、私の知る駅前商店街内のその店は、本店を暖簾分けした「春木屋 荻窪本店」だそうであった。洗練された繊細な味は、後から生み出されたものだそうで、勿論美味しいには違いないが(だからこそ未だ行列もできているのだが)、昔ながらの人達に言わせれば、春木屋は「本店」こそが最強なんだそうである。

そこである日、本店を探す旅に出た。北口は北口だが、青梅街道を横断し、阿佐ヶ谷方面かつ奥まった方面へと足を進めていく。商店街ならぬ住宅街地域であり、誰かに予め聞かされていなければ、こんな場所にラーメン屋があるとは思わない。しかしやがて見つけた「春木屋本店」は、住宅街の中で異質な雰囲気でもなく、自然に溶け込んで見えた。店構えが、仰々しくなく懐かしく落ち着いているからだろうか。

店に入り席に着きメニューを眺めると、駅前「荻窪本店」よりもメニューが多いのに意外性を感じた。本店のほうがストイックだと想像していたのだが、その逆で本店は、「町のラーメン屋」としての立ち位置であるように思われた。麺物数種類に、丼物数種類に、つまみ系も数種類。そして驚いたことに、蕎麦までも数種類。何でも「春木屋本店」、当初は蕎麦屋としてスタートしたんだそうである。

何を食べようか悩んだ末、この日はかなり暑かったので、今年初の冷やし中華を頂く事とした。春木屋本店は、スープの醤油と魚介の風味、麺の小麦の香り等、素材の味がはっきり出ていて、素朴なのにとても繊細な印象。この美味しい麺とスープで、昔ながらの甘酸っぱい系の冷やし中華が作られると、酸味やしょっぱさが勝るありがちな味にならずに、ちゃんととても美味しいのだった。昔ながらのラーメンがこんなに美味しいなんて、昔の物は馬鹿にできない。


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