2010-02-04 招き猫の由来の寺社仏閣巡り 他 [長年日記]

招き猫の由来の寺社仏閣巡り

招き猫像@自性院以前、何の調べ物だったかで、新宿区にある自性院というお寺について知った。招き猫の発祥とされている寺の一つであり、その伝承の元となる秘仏「猫地蔵」は、年1回・節分の日のみの御開帳であるという。新宿区という場所の近さから、これは是非行ってみなければと、有給を取得して馳せ散じた。そして有給ついでに、他の招き猫伝承のお寺も回ってきた。本当は三が日の内に或る寺社仏閣を訪れてはいるのだけども、アレを初詣の場所とするには私のイデオロギーに不足がある為に、そちらではなく今回をば、今年の「初詣」と認識する事とする。

自性院
知った時点では「新宿区」という大まかな場所だったが、実際には最寄り駅が、都営地下鉄大江戸線・落合南長崎駅になる。寺の入り口にまず、大きくて新しめで綺麗な招き猫像があり、まずは記念撮影。その後、中に入った。年1回公開の秘仏だが、参拝客は多からず少なからず、ゆったりと見られるが貸し切り状態にはならない。公開されていた仏像は、以下の3体であった。
  • 猫地蔵:「太田道灌が『江古田の戦い』で、劣勢に立たされた上に道にも迷って踏んだり蹴ったりの折に、猫に導かれて寺まで逃げ込み、そこで体勢を立て直して無事勝利した」。その猫の地蔵を奉納したものであり、これが招き猫の由来ともなっている――と伝えられているらしい。とても小さくて古びており、置かれた場所と観られる場所の距離が離れている事もあって、着せられた衣を見ながら説明を聞くのでなければ、仏像であるかさえもわからないほどである。
  • 猫面地蔵:立派な功績の女性がおり、彼女の死後に、猫に由来するここ自性院を選んで奉納された地蔵であるという。こちらも古びているが、猫地蔵よりは大きくて、またお地蔵様らしいシルエットをしていた。
  • 後ろにいた巨大な猫観音:明治時代にファンが奉納したという、大きいが色鮮やかでカラフルで可愛らしい仏像。猫尽くしの作りで、光背の仏様部分が猫の顔になっていたりする等。明治時代にもこういうセンスが存在したんだなあと思うと、とても親近感が湧いた。
私にとって残念ながら、秘仏達は撮影禁止とされていた。友人が仕入れた情報によると、「かつては撮影OKであったが、写真をネットにアップして勝手な事を言う輩がいたせいで、撮影禁止になった」んだそうである。肩を落としながら、猫のお守りを買って帰った。
豪徳寺
次に、今度は世田谷区の“招き猫発祥”地へ。小田急にその名も「豪徳寺」駅があるのだが、そちらではなく、東急世田谷線の「宮の坂」駅から歩いて向かった。寺の入り口の民家2Fベランダに猫がおり、声をかけたら降りてきて、しゃがんで構っていたら私の膝に乗ってきた。しばらくは椅子となって差し上げていたが、途中で体勢的な限界を迎え、泣く泣く降りて頂いて、主目的の寺を目指した。
招き猫@豪徳寺こちら豪徳寺の招き猫伝説は、次のような内容である。「井伊直孝が、鷹狩の帰りに寺の前で猫に招き入れられ、中に入ったところ突然雷雨となり、雨に降られずに済んだ事を喜んで寺に多額の寄進を行った」。福を招くと言っても、井伊直孝に招かれた福よりも、寺に招かれた福の方が遥か大きいような気がするが、しかしこの猫の功績は現代にも続いている。招き猫の由来となったばかりか、更にはあの「ひこにゃん」のモデルにもなったんだそうである。ひこにゃんは、ただのゆるキャラではなく、由緒正しいお猫様だった訳である。甚く感心して、こちらでも小さな招き猫が封入されたお守りを買い、大小取り混ぜた夥しい数が奉納されている招き猫達を、眺めてから帰った。
西方寺
最後は、西巣鴨の西方寺へ。こちらの招き猫由来は、大層ドラマティックである。「売れっ子遊女が猫を溺愛して贅沢させていたが、ある日厠へ入ろうとしたところ、猫は遊女の高価な着物を引き裂く勢いで噛みついて離れない。これを見た主人が、脇差で猫に切りつけ、その首を切り落とした。すると、飛び上がった首が、厠の天井に潜んでいた蛇を噛み殺し、飼い主である遊女の命を救った」。そんなツンデレで不憫な猫の像は、是非とも見ておきたいところであったが、境内を探し歩くも日既に遅く、時間切れ。豪徳寺で猫と遊んだのが敗因だったか……? いや、あれはあれで、貴重にして重要な時間だったし……。
後日、友人が日の明るい内に再訪して、ようやく招き猫像を見出して帰ってきた。残念な事に、相当に傷みが激しいそうである。形あるものはいつか壊れるのが宿命であるとはいえ、伝承ともども残ってほしいものである。

今日のところは、以上で終了。上を書く為に改めて調べたところ、浅草の今戸神社にも招き猫の逸話があるんだそうで、そちらは浅草観光を兼ねて尋ねてみる事としたい。

猫@世田谷区 猫@世田谷区
猫@世田谷区 猫@世田谷区
Tags: 雑記
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