2004-07-09 暑い/ニュースいろいろ/「ふたたびの虹」/「ななつのこ」 [長年日記]

[雑記]暑い

朝、バス停のところで知らないお婆さんに、「昨日はとても暑かったわねー、私は知り合いをお見舞いに出かけたら、熱射病の一歩手前になっちゃって、寝たり起きたりしていたわよ」と唐突に語りかけられたので、困惑しながら相槌を打った。そんなぐらいに暑い日々が続いている今日この頃。

[動物]全国の主要河川湖沼3割にブラックバス棲息/「ドルフィンファンタジー」

「<外来魚>ブラックバス3割生息 環境省調査」

全国の主要な河川・湖沼の約3割に、ブラックバスの一種オオクチバスが、また2割にブルーギルが生息しているとの記事。最初斜め読みして、「全国の主要河川・湖沼に棲息する魚の3割がオオクチバス+2割がブルーギル=5割」と理解してしまい驚愕した。

[食べ物]BSE関連/黒いスイカ

「係官ミスで禁止羊肉を輸入 73トン、販売済み」

アイルランド産の羊肉はBSE発生で輸入禁止対象となっているにも関わらず、係官がそれを知らずに輸入検疫証明書を発行してしまったとの事。羊肉を食べた人間はBSEに感染しないが、肉骨粉に加工された羊肉から牛に感染が広がる可能性はあるそうである。

「やっと成功 黒いスイカ 亀岡の男性 食べずに飾ります」楠木坂コーヒーハウス(7月9日付)より)

写真では真っ黒ではなく暗緑色といった感じだが、照明の具合にもよるのかもしれない。縞模様もうっすら見えているような。

[その他]京絞りのプラネタリウム/PS2版「耽美夢想マイネリーベ」

「コナミ、女性向け恋愛シミュレーションPS2版『マイネリーベ』発売決定、先行体験会を実施」

GBA版を中古で手に入れようとして未だに手に入れてないので、PS2版が出るのは嬉しい知らせ……と言いつつ、最近は随分とゲームから遠ざかっているので発売されてもしばらくは手に入れないだろうなーと思った。

[読書]ふたたびの虹(柴田よしき/祥伝社文庫)

出版社作品概要

柴田よしきの文庫新刊。丸の内の小料理屋を営む心優しい女将が、集まる客達から持ち込まれる謎・事件・告白を解決してみせる一方で、切り捨て隠した筈が時を経て再び蠢き出す自分の「過去」と向き合っていく連作短編集。料理の吟味も客達の謎解きも、どちらも女将にとっては同一線上のサービスであるようで、彼女の人の良さがうかがえ読んでいて気持ちが温かくなる。おばんざいとご飯のみの注文で酒を口にしない、「定食屋代わりの利用」である女性客も多いという、こんな店を私も知っていたらなーと思いながら読んだ。

全7篇中から、感想を幾つか(と言いつつ1つだけ)。

「聖夜の憂鬱 ばんざい屋の十二月」
過去のトラウマから、人々が浮かれ楽しむクリスマスを1人憂鬱に過ごすOLの告白を聞いた女将が、彼女を過去から解き放つ手助けをする。最初のこの1篇がいちばん心に残ったのは、リアルタイムで人が殺傷されるのではなく事件はOLの胸の内に秘められた過去の出来事であり、また女将の謎解きが真の意味の謎解きではない分女将の優しい「お節介」がより温かく感じられるからか思われる。もしくは、謎解きの舞台が中央線なので、親近感が湧いたのかも知れない。

[読書]ななつのこ(加納朋子/創元推理文庫)

出版社作品概要

「ささらさや」の著者による、こちらも連作短編集。古本屋で見つけて喜んで買った。「第3回鮎川哲也賞受賞作」だそうであるが、鮎川哲也という人をしらないので賞の重みがよくわからない。

ノスタルジックなイラストの表紙に惹かれて手にした短編(恐らく)童話「ななつのこ」に一目惚れした女子大生が、著者に直接語りかけたい衝動に駆られて生まれて初めて書いた「ファンレター」に自分の近況も盛り込んでみたところ、著者からの思いがけない返信には著者の想像による事件の「解決編」が記されていた。以後、主人公の日常にあらわれた些細な謎が「ななつのこ」1篇を絡める形で綴られ、童話作家がその真相を解き明かす、という形で1篇1篇話が進んでいく。繊細ぶったところがなく友人達からも元気いっぱいと思われがちであるらしい主人公の、意外と言っては失礼かもしれない感受性豊かさに、ファンレターを送られた童話作家同様に読み手の私の心も惹きつけられた感。

全7篇中から、感想を幾つか。

「一万二千年後のヴェガ」
東京都M市のデパートの屋上にいたビニール製の恐竜が、一晩で新宿の保育園の裏庭へと移動したにも関わらず、持ち出す人間を見たものが誰もいない不思議。1篇めで主人公が「神奈川県と東京都の境目、辛うじて神奈川県にしがみついているような場所に住んでいる」「自分達は<都会>という名のコンクリートジャングルの住人」と書いていたので、てっきり川崎市に違いないと思っていたのだけど、この篇を読む限りでは相模原市(町田付近)であるようで、その辺はコンクリートジャングルといった地域でもない気がしたがそれはさておき。童話作家が手紙の返信で綴った「真相」が、思い浮かべるにあまりにユーモラスな光景で大変印象的(ネタバレするのもアレなのでこれ以上具体的に書けないが)。「デパートの屋上のプラネタリウムで上映される星座の歴史」に共通する、矮小さと壮大さも兼ね備えているように思える。
「白いタンポポ」
友人の付き添いで参加した学校1泊キャンプにて仲良くなった小1女子を、教師達から情緒欠落というレッテルを貼られるに至らしめたという、少女が塗り絵で塗った「白いタンポポ」の謎。推理小説の時刻表トリックと一緒で、地元民等知っている人にとっては謎でもなんでもないのだけれど(私も知識としてはあった)、他の短編と同様に本題は謎解きではなく謎に行き着くまでの部分「この篇では『主人公と小1女子の交流』」にある。また、そう言えば私は子供の頃、「影響されて髪の色が紫や緑の人間を絵に描いて、それが理由で学校に『この子は情緒がおかしい』等と言われたら困る」という理由で、一部を除いたアニメの視聴を親に禁止されていたんだったと思い出して少し憂鬱になった。
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