2001-12-02 牡蠣と私 [長年日記]

[雑記]

小さい頃、私は牡蠣が大好物だった。ヌルヌルした食感も生臭い臭いも全然気にならず、冬場には必ずのように食べていた。

ある日哀しい出来事が起きた。その日の私は風邪気味で食欲がなかった。食卓には牡蠣フライ。幾ら好物とはいえ、貝類でしかも揚げ物ともなれば、食欲のない時に食べられる物ではない。が、なかなか箸の進まない私に対し、うちの母親は「おまえが好きだと思って用意したんだから」と食べる事を強要した。仕方なく、私は必死にそれをたいらげた。

その晩に酷い中毒を起こして以来、私は牡蠣が食べられなくなった。食べるとその時と同じような中毒状態に陥るのだった。別に牡蠣なんて食べなくても死ぬもんじゃなく、むしろ食べた時に死にそうな目に遭う訳で、その後私は牡蠣とはほぼ無縁の人生を送っていた。

平成13年冬。TVでは、キムチの素を使っての「牡蠣のキムチ鍋」のCMを流していた。そのCMは何故か私の心をとらえて離さなかった。なんて美味しそうなんだろう。あの牡蠣を是非食べてみたい。今までの牡蠣を避け続けていた日々は、この再会を盛り上げる為のまわり道だったのではないだろうか……。

そして今日。今年の冬の内に「牡蠣のキムチ鍋」を美味しく食べられる体になるべく、牡蠣中毒に対する幼少時のトラウマを少しずつ克服しようと、出来合いの牡蠣フライでリハビリを試みてみた。たっぷりのレモン汁とタルタルソースをかけて挑んだのだが……戻しこそはしなかったものの、ちょっぴり気分が悪くなった。むー。トラウマ克服の道は険しい。