2001-08-10 いわば真夜中の国の住人 [長年日記]

[雑記]

一昨日欠勤したばかりで今日は15分程度の遅刻。その内私自身も周囲も、辞めた会社と同じような流れに乗るんじゃないかと不安な気分になった。特に今の勤め先では「遅刻に注意するよう」言われている訳で、つまり今日はダメだったけどこれからは頑張ろう、という事で。

今日から来週金曜日までの6日間は1人で仕事。先月分の請求書が発送されそれに関する問い合わせが入る時期らしいのだけど、お盆休みと重なっていて問い合わせは少ないだろうし、仮に問い合わせがきた場合にも急ぎ以外は来週にしてもらうよう頼む手筈になっていたり等、難易度の高い業務はまわってこないよう予め手を打ってもらっているのであった。

仕事が終わった後、本社に行って「再就職手当申請書」を提出。実際のところ私はお偉いさん達の間では「いない人」同然になっているらしく、こちらもあわせてできるだけ姿を現さないよう心がけていても、今日みたいに用事がある場合に仕方なく来社した時には無駄に人に出会うものである。別に悪い事した訳じゃないのに、何故日陰者みたいに振舞わなきゃいけないのか、と思う事もしばしば。

イタリアントマトとルノアールをはしごして時間潰し。渋谷のルノアールは夜の11時までやっててメニューも多く、何より若者が来ている事にびっくり。

[読書]紫のアリス(柴田よしき/文春文庫)

会社を辞めて投げやりな気分の紗季は、その夜公園で
「不思議の国のアリス」に出てくるのとそっくりなうさぎを見た。
逃げるうさぎを追いかけた紗季が見つけたのは人間の死体……
その日から、彼女の周辺にはアリスをモチーフにした
奇妙な出来事が起き始めたのであった……。

この作品では、主人公紗季が不倫の恋破れて会社を辞めて「死んでも良い」と思うくらいの失意の内にあったり、精神安定剤を常用したりしている為に、彼女が目にする出来事が現実のものか妄想であるのかは、読者にも本人にもわからない。つまりは著者によるミスディレクション?が堂々と行われている訳で、推理小説としてはやはりアンフェアというか破綻した部類に入るのかもしれない。登場人物達の多くが自身や他人に明確な愛をもちその為に破滅に向かった中、1人取り残され何もかも不確かな世界で永遠に惑い続ける「哀れなアリス」の姿を描く事には見事に成功しているのだけど。